ディロードの効果と実践
この章では、ディロードについて解説していきたいと思います。そもそも、ディロードを聞いたことはありますか?ディロードとは、トレーニングボリュームや重量を意図的に下げてトレーニングを行う方法のことです。通常はトレーニングボリュームや重量を上げて筋肉の成長を促すわけですが、ディロードでは『逆』です。
ディロードには主に2つのメリットがあります。
ディロードのメリット
- パフォーマンスを落とさずに、疲労だけを抜く。
- 関節や筋肉を回復させる。
◆ パフォーマンスを落とさずに、疲労だけを抜く
トレーニングの疲労がたまるとどうなるでしょうか。怪我のリスクを高めるだけでなく、トレーニング自体のパフォーマンスを低下させます。いつもなら挙げられる重量やセット数をこなせなくなり、結果的にパフォーマンスが低下します。パフォーマンスが低下することで、筋力や筋肉量を高めるのが困難になるのです。
しばしば、「停滞」や「プラトー」と言われますが、疲労はこれらの原因の一つです。トレーニングの記録が伸び悩んでいるときは、ディロードテクニックを活用することで効果的な停滞打破、プラトー打破ができます。
◆ 関節や筋肉を回復させる
ウェイトトレーニング・レジスタンストレーニングでは、関節や骨組織で疲労蓄積が起きます。筋肉よりも回復が遅いので定期的に休ませることが重要です。疲労が蓄積しているということは、少なくとも関節や骨組織への負担も蓄積しているということ。迷わずにディロードで回復するべきです。ディロードでの大きなメリットは、疲労を抜くだけでなく、パフォーマンスを維持できること。安心してディロード期間をもうけましょう。
ディロードのやり方
◆ ディロードのベーシック
これだけは崩さない!ディロードの基本といえるのが「疲労度合いに合わせてトレーニングボリュームを低下させたり、重量を落とすこと」です。これと行ったテンプレートはありません。ですが、疲労を正しく把握することで、どれくらいのディロードが必要かは、大まかに推測できます。
◆トレーニング経験1年未満の方
トレーニング経験が1年未満の方は、いつも扱っている重量の90%の軽めの重量で同じセット数、同じ回数を1〜2セッション行ってください。重量が軽いため物足りなく感じることがありますが、ここでは我慢してディロード期間を過ごしましょう。ディロード期間で追い込んでしまっては意味がありません。逆効果です。
それでも疲労感や停滞を打破できないときは、回数とセット数も減らします。約1〜2週間で調整するのでディロードでは一般的なので、5回くらいのトレーニングで軽めで行うとしても、パフォーマンスは落ちません。
- 期間:1〜2週間
- 重量:通常の90%の重さ
- 回数・セット数:通常通り(疲労具合によって減らす)
◆トレーニング上級者の思い切った戦法
トレーニング上級者は、中途半端なディロードでは実効性が低いのが事実です。きちんとディロードの恩恵を得るためには、思い切ったディロードが必要です。
トレーニングボリュームを「3分の1」または「4分の1」に減らしましょう。ここでの注意点は、全身(大胸筋、三角筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋、広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋群、内転筋群、臀筋群、大腿四頭筋などなど)に刺激を入れることです。刺激を入れ切らずにトレーニングをスキップすると、パフォーマンスが低下するので注意が必要です。
筋トレのレベルが高くなればなるほど、ディロード期間が長くなったり、トレーニングボリュームを減らす必要が出てきます。
- 期間:1〜2週間
- 重量:通常の70-80%
- 回数:通常通り
- セット数:通常の1/3 or 1/4
ディロード期間中に忘れがちなストレッチとFR
ディロード期間中に忘れがちなのが、フォームローリング( FR)です。フォームローリングは聞きなれない言葉かもしれません。フォームローリングとは、円柱のストレッチポールを利用して体のほぐすことです。
ディロード期間の主な目的はあくまで、疲労回復や関節の違和感を最小限にすること。その目的を忘れて、家でまったりをしているのは効果的なディロード期間とは言えません、ディロードの効果を最大化するためには、ストレッチの活用とフォームローリングを行うようにしましょう。
◆ トレーニング前のフォームローリング
トレーニング前はフォームローリンを活用してウォーミングアップを行います。AFB独自ウォーミングアップには、必ずフォームローリングが含まれています。時間が許すのであれば、10-15分ほど行えるとベストです。
フォームローリングは科学的に疲労回復効果・筋肉痛の軽減効果があることがわかっています。
◆ 痛い箇所こそじっくりと
フォームローリングでは筋膜リリース効果があります。筋膜をリリースすることで、筋肉の柔軟性を高めます。筋膜をリリースする時はどうしても痛みが生じるものですが、その痛みこそが筋膜をリリースしている証拠です。我慢してください。
ディロードの原理
ディロード中に意識するべきことは、神経系の伝達力低下を防ぐことです。つまり、筋力を維持すること。ディロード期間では筋肉量の大幅な低下はおそらく見られないでしょう。ですが、筋力低下は十分に起こりえます。筋力において大きな差が出てしまう可能性があるのは神経系が衰える時です。筋肉量以上にトレーニングの効果を受けやすいからです。セット数や回数は減らしつつ、高重量を扱うトレーニングスタイルに変えるのが賢いディロードの方法。
本当にディロードが必要か?
ディロードを実践する前に、あなたに本当にディロードが必要かを見極めましょう。ディロードを実践する時は、「筋肉に違和感がある」「関節に違和感がある」が主な因子となります。ほかにも、「疲労感」や「倦怠感」なども要素となりえますが、個人の価値観に左右されやすい要素なので、これらを元にディロードを取り入れるのは推奨できません。疲労感や倦怠感は、一時的なもので寝ると回復する場合が多いです。
- トレーニング上級者かどうか
- 毎回のトレーニングで高重量を扱うか
- 各部位のトレーニング頻度が週に2回以上か
- 筋肉・関節に違和感があるか
主に上記4つの判断要素を考慮してディロード期間を設けるようにしましょう。
ディロード以外の停滞・プラトー打破の方法
筋肉や関節に違和感は時にないけど、停滞やプラトーを感じる。そんなときあなたはどうすれば良いのか。打開策をご紹介します。
- スピードトレーニングを取り入れる
- バーベルとダンベルを入れ替える
- DUPを取り入れる
- FST-7を取り入れる
- POF法を実践する
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